編集者より

とても悲しい歌詞の曲が
この世界にはたくさん、ある。
失恋、別れ、死、悲しい現実、認めたくない痛み・・・。
誰でも、自分の好きな一曲を思いつくだろう。


もし、それらの歌詞を文字だけで読むと
あまりにも悲しく、つらい言葉に
目をそむけたくなるだろう。


でも、誰もがそんな曲を好きでいる。
カラオケで歌う。
テレビで流れると、つられて口ずさむ。

なぜだろう。
悲しい文字が音楽になると、別の光を持つ。
これって、
ことば（歌詞）とメロディ（音楽）が生み出す
魔法の一つなんじゃないかと思う。


・・・・・・・・・・・・・・・


音楽ではないけれど、そんな作品にある日出会いました。
ふと立ち寄った、レトロな雰囲気の喫茶店で開かれていた個展。
絵を詩を組み合わせた作品が並んでいました。

そこでまず目を惹いたのは、こんな言葉でした。





これらの言葉は、ぼくが意図的に文字だけを抜き出してみたものです。

読んでみてください。おそらく冷たさを感じるのではないかと思います。

しかし、ぼくが目にした作品は、
まったく違うイメージを湛えていました。
なんというか、文字と絵がお互いに融合して、
不思議な雰囲気を伝えてくれるんです。



さきほどの「詩」の実際の作品を
順番に見てみましょう。













独創的な不思議な絵と、
そして手描き文字。
その二つが融合して、
不思議にやわらかなメッセージを伝えてくれると
感じました。


厳しい言葉だけでなく
こんなやさしい作品もたくさんあります。






これらの詩画は、文字に注目すれば、
メッセージ性の強さを感じますし
また眺めるための絵として見れば
自分を時に励ましてくれる存在にも
なるような気がします。


上記はほんの一例で
さまざまな「ことば＋絵」を
これまでにお描きになっています。








そんな個性的な浜田香織さんの作品。
これを集めて
編んで一冊の本にする機会を
この度いただきました。






ちなみに、肩書きの「宇宙絵師」ですが
ご本人によれば、自分自身の活動も
「宇宙の活動の一部」ととらえて意味だそうです。


天候や気圧、温度によって
街の景色が違って見えるように、
これらの言葉たちも、
ページをめくる、その日によって
新しい発見や、励ましをもたらしてくれる、
そんな一冊になったと思っています。


どうぞ、よろしくお願いします。


編集者　久保浩志（しおまち書房）

著者プロフィール

浜田香織
広島県呉市在住。
龍谷大学文学部哲学科卒業。
個展の開催や絵本の作画を手がけるなど広島県内で制作活動中。
作品は独創的で大胆と評価される。
２０００年、講談社「海の生き物イラストコンテスト」入選。

書籍概要

●『あなたへ』宇宙絵師 浜田香織 詩画集
2015年11月発行（発売は12月初旬開始）
発行者・著者／浜田香織
編集／久保浩志
制作・発行／しおまち書房
サイズ／Ａ４　オールカラー
ページ数／60ページ　
販売価格／1,800円（税別）
※限定数量印刷のリトルプレスです。